同窓会に思うこと
2016年運営委員 代表




 

同窓会に思うこと

2016年 運営委員長 坪野直樹

越ヶ谷高校 81年卒業生の皆様へ、

 

5年前、30年ぶりの同窓会を前に


毎年12月になるとクリスマスはどこに行こうか、大掃除はどこから順にやるか、年賀状を書かなくちゃ・・・と思いながら飲み会が続く日々。多い時は一晩で三つも忘年会をハシゴした時も。
 
結局、年末になって慌てて年賀状を書いていると、ふと思う。あっ来年は高校卒業後10年だ、と。
その後も15年、20年、と過ぎてしまっていた。
 
一部の友人とは年に一回位は会ったり、話をしたりはしているが・・・、あとの皆は本当何しているんだろう。
 
イベント好き、宴会好き、皆でわーっとやるのが好きな私は、同窓会をやりたい、いつかはやらなければいけない、と思っていた。
でも所詮思っているだけだった。
 
5年ごとに何があったか振り返ると、そう、色々あった。10年目は結婚を予定していた時期、15年目は第2子が生まれた直後、家のローンの額が上がった時、などなど、同窓会をやる状況ではなかった。
でもそれは、ある意味言い訳だったかもしれない。
 
同窓会をやるとしたら・・・。会場は高校の近く・・・確か北越谷駅辺りの桜並木の近くに結婚式場みたいな所があったな。先生方は元気かな? 皆どこで何しているんだろう? 連絡が届くかな? 連絡先は卒業アルバムの住所くらいしか分からない。そうだよ、自分のクラス会だってやってないのに学年同窓会は・・・簡単じゃない。
 
連絡が取れても皆自分の生活があるから・・・いいね、会おう! と思うかな。
 
そうそう30年も経つと、警察と泥棒の関係になっているかも・・・。でも同窓会の間だけでもそんな立場なんて考えずに話したいな。
 
そんなことを考えていたら、突然、高○くんからメールがあった。
同窓会を計画していると。
 
ならばと、この思いを・・・、返信した。

5年前、同窓会参加の声掛けをした


「おー久しぶり! 元気? 実はさ、同窓会をやるんだけど。」
「なんだよ。元気ないな。」
「また、連絡するからさ、絶対来いよ。空けておけよ。」
 
「忙しい?」 「 暇が無い?」
「疲れている?」 「入院した?」
 
「女房が・・・」 「子供が・・・」
「親父がさ・・・」 「お袋がさ・・・」
 
「とにかく行けないよ!」 「色々あるんだよ!」
 
皆、そんなことばかり言って!
でもそうだよな、30年も経ってりゃ・・・。
仕方が無いよな・・・。 仕方が無いから諦める・・・。
 
いやいや諦めない。とにかく話したい。どこで何をしているかだけでも聞きたい。
今は無理かもしれない。でも・・・これからずーっとじゃない。
時が経てば状況が変わる。その時に会えればいい!
 
毎回、少しずつ会える人が増える。
毎回、少しずつ会える人が変わる。
延べで考えたら全員。それでもいい。やり続ければいつかは会える。

5年前、同窓会に行く前にあれこれと考えたが・・・


同窓会って、よくドラマで見たり、同僚から聞いたりする。
高校の時に思った、感じた、感覚がよみがえるのかな? 良いことも、嫌なことも・・・。
 
そんな風になるのかな? どうなるのかな? 
ただ話すだけかな? ただ飲むだけかな?
 
付き合っていた彼女と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
ふられた彼女と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
気になっていた彼女と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
思いがけず告白された彼女と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
いじめられていた俺が皆と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
いじめていた俺が皆と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
いじめられていたあいつと再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
いじめていたあいつと再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
クラスの中心だった俺が皆と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
クラスで目立たなかった俺が皆と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
クラスの中心だったあいつと再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
クラスで目立たなかったあいつと再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
部活ばかりやっていた俺が皆と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
帰宅部だった俺が皆と再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
部活ばかりやっていたあいつと再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
帰宅部だったあいつと再会、そして・・・そんなこと、ある? ない?
 
いろんな事を思いながら参加した同窓会。
そんなこと、あるとか、ないとか・・・考えたけど結局何もなかった。
でも、何か違った感覚。何だろう、不思議な感じ。
 
その後も、その不思議な感じはしばらく残っていた・・・。何だったんだろう・・・。

5年前、学年同窓会当日を迎えて


5年前、同窓会の前日になって30年前の自分を思い出した。
でも、今は違う自分がここにいる。
 
早く会いたい。でも何となく怖い。何話そうかな。
30年前のこと? 今のこと? この30年間のこと?
30年か・・・。
 
結婚して子供が生まれ、頭は白髪が増え、腹は出て、メガネを掛け。
これじゃ街ですれ違ったって分からないかもな・・・。
30年って思った以上に長いんだな・・・。
 
そしてその日が来た。
あー誰かと待ち合わせして行くことにすれば良かった。
とはいえ、あいつでさえ10年近く会っていない・・・。年賀状が続いているだけだもんな。
楽しみにしていた筈の自分。何となく足が重い。
 
あー懐かしいな。でも東武線って高架になったんだ。
たまにこの近くを通った事があるけど、車だからな・・・景色が違う。
そうか、あの時はこうやって電車で学校に行っていたんだなー。
 
越谷駅に着いた!
皆いるかな? 何かドキドキしてきた。
うわ? 懐かしい顔。でも顔の真ん中辺りだけ。
風貌はただのおっさんじゃん。あれ? あの人、誰かに似ている!?
「もしかして・・・、中村くん?」
「おーなんだ、鈴木じゃないか!」
「なんだ中村か!」と、くん付けから呼び捨てに。
 
ここから先はよく覚えていない。
何かに取り憑かれたように、自分で分からないくらい・・・、止まること無くしゃべり続けていた。
そう、いつもと違う自分になっていた。今思えばそれは30年前の自分だったかもしれない。

5年前の学年同窓会の後


えーそうなんだ。2割も連絡が取れていないんだ。
そうだよな、30年だもんな。アルバム以外は手掛かりが無いんだもんな。
聞いた話じゃ、ここまでなるのでさえ相当大変だったらしい。
 
当日は、皆に会えるのを楽しみにして会場に向かっていた。
でも、参加していないやつがいると分かったら凄く会いたくなった。
何とかして会いたい! 連絡したい! 何とかして・・・。
奇跡みたいなあの時の不思議な感覚を一緒に味わいたい!
 
メール、電話、手紙、なんでもいい! 連絡したい! 会いたい! 会ってみたい!
あれ? もしかしたらあいつ・・・、そんなこと・・・、思わないのかな?
いいよ、思わなくてもいい。とにかく話をしてみたい! 声を聞きたい!
どこで何している、だけでも聞きたい。いや元気でいればいい。それを確認したい。自分で!
 
話したい。声を聞きたい。ただそれだけなのに、できないなんて・・・。
今後もずーっと、会えないやつがいるのかな!? そんなこと考えたくない!

5年前の学年同窓会後、SNSで


SNSを始めてまだ間もない。いまだに使い方がよく分からない。
そんな時たまたま会社の先輩がSNSに出ていた。
その先輩は定年後、好きだった楽器演奏で活発に活動をしていた。
そういえば、会社行事でも楽器をひいていた。
 
あれ? この写真に写っている人、この名前・・・。
なんだ! 高校の同級生じゃん! なんで?
 
滅多にSNS発信をしない俺が叫んだように書き込んだ。
「先輩、そこに写っている○高くんは私の高校の同級生です!」
「○高くん、そのバンドの○木さんは私の会社の元先輩です!」
先輩のSNSのバンドメンバー他数名の写真にはなんと前回の同窓会で久しぶりに会った○高くんが。
これぞ、SNS!って思った。
 
もし同窓会をやっていなかったら、SNSで繋がっていなかったかも。
SNSで見かけても自信が無く声を掛けなかったかも。
こんなことってあるんだなー。知り合いの知り合いは知り合い・・・ぐるっと回って繋がった感じ。

前回の学年同窓会から5年


あっ、来年は前回の学年同窓会から5年だー。
そうか、もう5年か。 またやろう、会おう、って言ってたけど。
オリンピックぐらい・・・、と言ってたけど。
 
またやるときには連絡が来るのかな? そうか、あれから俺引っ越したし・・・。
今の住所は年賀状のやりとりをしている山本と高橋くらいにしか知らせてないや。
あの時の運営委員って高○だったよな・・・。連絡先を教えてないや。
 
恐る恐る行った越谷駅。でも会った瞬間全てが変わった気がした。
翌日現実に戻ったけど、何となく皆と会う前と変わったような・・・、変わらないような・・・。
あーやって皆と久しぶりに会うのもいいな!
 
えっ、うそ!? 来年学年同窓会やるの? んー、今一番忙しい時じゃん!
でも、何とかして行きたいな・・・。
いや、半年後なんて忙しいか分からないし・・・。
 
そういえば、5年前の時は佐藤がいなかったな。どうしてだろう?
佐藤って確か卒業後引越をしたよな。誰か連絡先を知っているかな? 
高校の時にあんなに話したり、一緒に帰ったりしていたのに、俺知らないや・・・。
うー何かすごーく会いたくなった。来年の同窓会来るかな?
 
何だよ。5年前の時は皆に会うのが怖いくらいだったのに・・・。
その時にいなかったやつに会いたくなった! どうすればいいんだ?
運営委員が連絡先を知っているよな。あー来るかな? うー何か楽しみ!
 
えっ、もしかして連絡が行っていない? 俺の引っ越した連絡先が分かったのが不思議なくらいだから・・・。
連絡が来て喜んで・・・、5年前の時にいなかった佐藤にも連絡が行っているなんて、虫が良すぎ?
誰か知っているかな? そうか、30年、35年ってそういうことか!
 
あー、会いたいのに連絡先が分からない。 それを運営委員が知っている筈、なんて勝手だよな。
そうか! とりあえず山本と高橋に聞いてみよう。
ここ数年間、年賀状だけだったけど・・・止めなくて良かった。久しぶりに飲むか!

そして、第2回学年同窓会準備が始まる


実家がまだ東武沿線にある。両親とも健在だが中々歳には勝てず最近は危なっかしい。
私の子供が小さい頃は年に数回遊びに行っていたが、子供も大きくなり最近はそのタイミングがない。
それでもたまに帰るとなんだか落ち着く。
 
先日、卒業後も年に一回くらいは集まって飲んでいたメンバーと再会した。
特別なことを話すわけでもなく、たわいもない話が続いた。
でも、高校の時に酒も飲まずに朝まで議論した形がそのまま今もあるという感じでエスカレート!
んーこの感じ! 何とも言えない心地良さ。
 
この東武沿線に来ると何か違う。居心地がいい。落ち着く。
そこでこのメンバーに会えば益々気持ちがいい。何とも言えない感じ。
 
そして最近になって、よし来年は前回の同窓会から5年だ!
今やらなかったいつやる! 誰もやらないなら俺がやる・・・。
今やらないと、ずーっとできなくなってしまう気がした。
だから、今!
 
学年同窓会。大変かもしれない。
でも、5年前に30年ぶりにやった人がいる。その大変さから比べればできる。
その大変さを途絶えさせてはいけない! 
 
そう思っていた所に前回の運営委員が声掛けし、集まった。
そう、久しぶり。 これも同窓会みたいなもの。
 
そしたら私と同じようなことを言っていた。
「俺、実家はもうこっちには無い。でも来ると何か違う。落ち着くというか・・・。」
 
そんな人が一人でもいれば良い。やる意味がある。開催した甲斐がある。
それだけで十分。理屈や理由なんて・・・。
 
そんな気持ちになれる。感覚になる。知らないなんてもったいない。
45人がいて45個の席があったら・・・気が付いたら高校の時の席順になっていた。
そんな感じ。そんな感覚。そんな落ち着き。